2009年01月23日 00:50

忘れられた風景

 暖かな日差しの中、駅に向かう途中で私のすぐ側に

1台のトラックが停まりました。

 荷台には何本ものコンクリートの柱が乗せられています。


 ……電柱でした。

 見るとそのトラックの側には

懐かしい木の電柱が建っていました。

 どうやら今から工事が始まるようです。


 昔は街中でよく見かけた木の電柱。

 胴体には番地を知らせる白い小さなプレートと、

頭上には業務用ゴミ箱のように大きな変電機。


 雨の日には重たそうな深い色でたたずみ、

晴れの日にはパリッと背筋を伸ばすかのように、

彼らはりりしい姿を見せていました。


 何十年と街を見守ってきた木の電柱は、

いつの間にかその数を減らし、

現代では私の住む田舎町でもほとんど姿を見かけません。


 知らないうちに木はコンクリートに変わり、

街に溶け込んでいました。


 真っ赤な円柱のポストも同じです。

 みなさんが木の電柱や円柱ポストを

最後に見たのはいつですか?


 交差点の角にあった建物がいつの間にか

ガソリンスタンドに変わっている…

 けれど前にあった建物が何か思い出せない…。

 人の記憶は曖昧で、意識していないものは

すぐに過ぎ去ってしまう。

 私は木の電柱を見つめながら…

そんな切なさを、心に記憶しました。


キャットウーマン